<もし、あの時ISOの仕組みが機能していたら>
★この文章は、だいぶ前に書いたものの、公開をためらい、自粛していたが、連日連夜の鉄道会社のあきれた言い訳を聞くに付け、とうとう以下に公開することとしました。たまたま、真の原因解明ツール「FTA(故障の木解析)」の教材が完成したので良い機会でもあるし・・・・・。
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最近、携帯電話に災害や鉄道トラブルのお知らせが着信するような設定にした。地震や気象情報などとともに毎日、数件は必ず着信する。鉄道のトラブル・不通・遅れなどのよくある原因説明の中で腑に落ちない説明内容を抜粋してみた。(人身事故除く)
①踏切内の点検を行なった影響で
②信号点検を行なった影響で
③何々駅で安全確認を行なった影響で
④ドア点検を行なった影響で
⑤車両点検を行なった影響で
⑥線路内点検を行なった影響で
ISOの研修、特に是正処置のところでは「原因を解明する」ところが肝心な工程です。そのために「なぜなぜ分析」の方法などの研修をやります。上記の原因の説明はどうでしょうか?
これらが本当の原因だとしたら、その是正処置、すなわち原因を取り除く処置としては、
①踏切点検をやめる
②信号点検をやめる
③安全確認をやめる
④ドア点検をやめる
⑤車両点検をやめる
⑥線路内点検をやめる
ということになりますね。でも本当は、真の原因は違うところにあるはず、それを率直に説明するわけには行かないのでしょうか。
<真の原因>
①なぜ、運行中に踏切点検をする事態になったか?
②なぜ、運行中に信号点検をする事態になったか?
③なぜ、運行中に安全確認をする事態になったか?
④なぜ、運行中にドア点検をする事態になったか?
⑤なぜ、運行中に車両点検をする事態になったか?
⑥まぜ、運行中に線路内点検をする事態になったのか?
しかし、大方の乗客・市民は判っています。
「鉄道会社・職員は、自分たちの非を認めたくない・自分たちの責任にしたくない」
「自分達の責任範囲外のことで運行トラブル・遅延が発生したということを強調したい」
「常に安全確認や点検に心掛けている結果、こうなったのだ。やむを得ない事象だ」
そういう組織的体質なのだということを、皆知っています。それでも、毎日毎日、同じことが再発し、そのたびに「安全確認のため、・・・」等々と説明しています。
なぜ、運行中に点検や確認をして運転見合わせ・不通だの遅延だのを引き起こすことになったのか? 本当の原因は、その奥に存在しているわけです。
点検や安全確認の類は、乗客を乗せる前に当然やっておくことだと、普通は思います。一般企業でお客様に対して「機械の点検をしているので。お届け中に安全確認をしたので」等々という理由で、納期遅れや出荷ストップの原因を説明するでしょうか。
よくある(毎日ある)①~⑥の真の原因は何でしょうか? もし、ISOが機能していたら、必ず真の原因を解明し、再発防止処置をしているはずですね。また「自己保身、責任転嫁型の説明」はしないはずです。鉄道・公的機関における「顧客不満足」の典型でした。
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